インフォームド・コンセントで使う
医療の世界も様変わりしてきました。
昔の医者は、「黙ってわたしの言うとおりにしなさい」方式が大半を占めていました。腕のいい医者ほど、この傾向が強く、とにかく先生の言うとおりにしておけば間違いない・・・と、一般市民は思っていました。
ところが、昨今の、度重なる医療過誤は、すっかり医者の権威を失墜させてしまったようです。
全国の地裁・簡裁で新たに提訴された医療訴訟は、1990年に352件だったのが、2000年には767件になっています。10年間でなんと2倍以上の増加です。
*cyberMEDのHP、2000年の医療訴訟の統計データより引用
医療訴訟にいたった理由や原因は様々ですが、医療訴訟を多く手がける弁護士さんによると、客観的に見て患者側の勝訴が難しい状況にも関わらず、訴訟に踏み切る理由として次のような患者側の心理があるそうです。
「納得がいかない」「真実が知りたい」「医療者の対応が許せない」
つまり、金銭が目的というよりも、”医療者の対応がどんなにひどいものだったか”ということを証明したい、非を認めて詫びて欲しい、あるいは”本当のところを教えて欲しい”という気持ちが強いのです。そして、訴訟になるかどうかは、医療過誤の内容の大きさよりも、医療者と患者側との信頼関係の強さに左右されるというから驚きです。
インフォームド・コンセントの徹底も、患者側の基本的な権利となってきました。
医学部の学生は、大学の講義の中で、インフォームド・コンセントの重要性を、嫌になるほど繰り返し叩き込まれるそうですが、それじゃ、実際、どういうふうにやれば効果的なのか・・・については、ほとんど教わらないらしいのです。
このような背景のもと、コーチングを医療の分野に取り入れようという動きが高まってきています。
コーチングは、コミュニケーションスキルです。ここまでわたくしのHPを読んできてくださった方には、もう伝わっていると思いますが、円滑なコミュニケーションや、円滑なチーム運営に役立つコーチングスキルは、患者さんへのインフォームド・コンセントでも役立つのです。
インフォームド・コンセントで重要なのは、事実を包み隠さず伝えること、その事実がきちんと患者さんに伝わったかどうかを確認すること、患者さんや家族の驚きや悲しみをきちんと受け止め、その上で、医療者としての専門的アドバイスを押し付けでなく伝えること、患者側の背景を引き出し、それを尊重した治療計画をたてること、最終的には、その治療方法を患者自身が決定できるようにサポートすること、などでしょうか。
これは、コーチングのプロセスに、医療のコンサルタントとしての役割を付け足したものだと思います。
職業別使い方のところでも、詳しくお伝えしますが、いわゆるビジネスコンサルタントも、コーチング・スキルが不可欠な時代です。コンサルタントの国家試験である、中小企業診断士の試験には、助言理論として、コーチングが科目に加えられました。
医療コンサルタントとしての、医師は、患者さんの意向を充分に引き出し、それを踏まえた上での、専門的アドバイスをしなければ、患者さんが全く希望しない治療を一方的にされたと、後に訴訟になってもおかしくない時代なのです。
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